高齢の親に新しい電気設備を使わせたいときの工夫
新しいものは受け入れにくくなる
親から「新しくしたいから頼む」と言われることはありませんか?
スマホや電化製品など、新しいものは分からないから子どもに頼ろう、と思われることが増えています。
誰しも高齢になると新しいものは受け入れにくくなるものです。
しかし、安全面でどうしても機能が新しいものに変えざるを得ない。そんな時、納得して使ってもらうための工夫が必要です。
子どもが手取り足取りではなく自分で使えるように
「息子、娘に任せておけば大丈夫」
近くに住んでいると(近くに住んでいなくても)頼られます。
子どもは、親孝行をしなければならないので、その都度助けに行きます。
しかし、ひとりで身の回りのことができるならば、新しいことを自分でできるような環境を整える方法もあるのではないでしょうか?
高齢になれば物覚えが悪くなるのは誰しも同じこと。しかし、脳は何才になっても鍛えれば効果があるという結果も出ています。
親の脳を衰えさせないために、何でもやってあげるのではなく、自分である程度できる環境を整えるという工夫をしてみるのはいかがでしょうか?
説明書の工夫
新しいインターフォンをつけた私の親。
最初の希望は「とにかく簡単なもの。鳴ればいい」
しかし、防犯的に鳴ればいいでは済まない世の中であること、親自身の耳が遠くなり、音が聞こえにくくなっていることから、録画機能付きで音がはっきり聞こえるインターフォンに交換しました。
自分で使えるか不安そうだったので、分厚い説明書をまず、私が熟読。
今の説明書は情報量が多く、最初から最後まで読んだとしても、70~80年以上も生きてきて、生まれて初めての機械ををちゃんと使えるとは限りません。
そこで、「これだけ読んでおけば大丈夫」というページにインデックスを貼り、蛍光ペンで印をつけておきました。
2,3カ所です。本当に、最低限の使い方が書かれているページです。
すると、読みながら自分でも蛍光ペンで印をつけていました。
「ここさえ読めば大丈夫」という場所が分かる安心から、他のところも読み進めたようです。
それにしても、新しいことを学んで使っていこうとする姿勢に脱帽しました。
万が一、「分からない」と言われたときのために、私自身も説明書のコピーを取っておきました。こうすれば、トラブルの時、私が調べて親に「説明書の〇ページを開いて」と指示を出せます。
できる作業は自分の手でおこなってもらう
器具の取付は電気工事士でないとできませんが、子機の電池は入れて充電できます。
やりたそうだったので、自分でやってもらいました。蓋が開かなかったので、やり方を見せ、また閉じて自分でやってもらいました。
ちょっと意地悪かもしれませんが、簡単なことでも自分の手を使っておこなうことが脳を使い、自分で使うという自覚が芽生えます。
練習に付き合う
新しいインターフォンをつけたら、何度か練習します。
70~80年以上も生きてきて、生まれて初めての機械です。人生の経験は多い方々ですが、初めての機械には恐れも感じるはずです。
そこで、何種類かのパターンに分けて、返事をする練習をしました。
多分、練習をしただけではうまくいかない時もあるでしょう。時々は連絡をして様子を聞いてみる必要があります。
練習の時は使い方を覚えても忘れることもあります。「ダメじゃないか」と否定すると人格を否定された気持ちになります。気を許している親子だからこそ、ケンカになることもあります。
誰しも忘れるのです。
70~80年以上も生きてきて、生まれて初めての経験をすることに敬意を払い、もう一度練習に付き合うのもいいのでは、と思います。
高齢の親とのコミュニケーションにも
新しくした機械の使い勝手を聞いたり、逆に聴かれたりすることは、良いコミュニケーションになります。
ただ、親は心配させたくない時は「大丈夫」と言います。
「うまく使えてる?」と聞かれれば、反射的に「大丈夫」とか「使えてるよ」と答えてしまうのが本能なのです。
なので、使えていない部分を聞き出すために
「まだ、新しいインターフォンに慣れないでしょ?」とか
「うまく出られない時あったでしょ?」
と「はい」「イエス」と肯定的に答えられるような質問をするといいです。
「そうなんだよ。この前○○さんが来た時、先に玄関を開けちゃって」
など失敗談を話しやすくなります。
そう言われたら「そうなんだ。」とまず共感し、もう一度練習するといいですね。